③わたしの執事はときどき俺様
「あのぉ、さっきまでの丁寧な言葉遣いだった北川くんは一体どこへ……?」
戸惑いを隠せないわたしが、なんとか尋ねると。
「ん? ああ、悪いなお嬢様。これが本来の俺だから」
えぇぇぇ。
所作も言葉遣いも美しい執事だと思っていたら……まさかこんな裏の顔があったなんて。
「まったく。俺のペアがこんなんじゃ、困るんだけど……」
「べっ、別にいいじゃない! あなたに迷惑かけてないし」
「何言ってんだ。ここは、櫻乃学園だぞ!?
お前がそんなんじゃ、将来俺たち1位どころか5級にすらなれねぇだろーが」
「は? 1位に5級?? 一体何のこと?」
わたしは首を傾ける。
「まさかお前、知らないのかよ?」
わたしは首を何度か縦にふる。
「入学説明書にも書いてあったろ。まさか、説明書読んでねぇの?」
「別に、わたしは来たくてここに来たわけじゃないから。そんなの、読んでない」
「バカなの、お前。入学前に読むだろ、フツー」
北川くんは、またもや盛大なため息をつく。
「お前が知らないのなら、俺が教えてやる」