③わたしの執事はときどき俺様
「なぁ。菫お嬢様も、茂人様から俺と同じようなこと言われたんじゃねぇの?」
北川くんと同じようなこと……それは、そうだけど。
『いいか? 菫。櫻乃学園に入学するからには、小鳥遊グループの者としてしっかり学び、学園で一番になりなさい。お前ならきっとできると、ワシは信じておるぞ』
入学式の前日、おじい様から言われたことが頭に浮かんだ。
「茂人様やご両親をガッカリさせても良いのか?」
「だけど……こんなわたしが一番とかきっと無理だから」
だって櫻乃学園は、大企業や有名財閥の一流のお嬢様がたくさん通ってるから。
そんななかで1位になるなんて、とてもじゃないけど……。
「無理とか、やる前から決めつけんな」
え?
「これから頑張ればいいだろ。俺と一緒に」
「北川くんと……一緒に?」
「ああ。お前はひとりじゃない。俺というパートナーがいるんだから、大丈夫だ。この俺が、これからお前を完璧なお嬢様にしてやるよ」
ええ!?
「でっ、でも……」
「でもじゃない。これはもう決まったことだから。覚悟してろよ、菫サマ」
ひいい。ものすごく嫌な予感しかしないんだけど。
こんな裏表のある執事見習いと、一緒に生活するだなんて。
ああ……これからわたし、一体どうなるんだろう。