③わたしの執事はときどき俺様


「……ほら」

「ん?」


少しして、黙々と朝食を食べていたわたしの目の前に置かれたのは……湯気のたつハムエッグがのったお皿。


「えっ、これ……まさか作ってくれたの?」

「ああ。お嬢様が食べたそうに言うから」


なんだかんだ言って作ってくれるなんて、優しい。


「ありがとう。北川くん」

「別に。俺はお前の執事だから。ていうか、その北川くんって呼び方、やめてくれないか?」

「え?」

「昨日から思ってたんだけど、親も同じ北川だから。その……菫様には名前で呼んで欲しいっつーか」


ほんの少し照れくさそうに言う北川くん。

ちょっとだけ可愛い……かも?


「それじゃあ……俊くん?」

「ああ。それで良い」


俊くんの作ってくれたハムエッグは、塩加減が絶妙でとても美味しかった。


< 16 / 36 >

この作品をシェア

pagetop