③わたしの執事はときどき俺様
「……ほら」
「ん?」
少しして、黙々と朝食を食べていたわたしの目の前に置かれたのは……湯気のたつハムエッグがのったお皿。
「えっ、これ……まさか作ってくれたの?」
「ああ。お嬢様が食べたそうに言うから」
なんだかんだ言って作ってくれるなんて、優しい。
「ありがとう。北川くん」
「別に。俺はお前の執事だから。ていうか、その北川くんって呼び方、やめてくれないか?」
「え?」
「昨日から思ってたんだけど、親も同じ北川だから。その……菫様には名前で呼んで欲しいっつーか」
ほんの少し照れくさそうに言う北川くん。
ちょっとだけ可愛い……かも?
「それじゃあ……俊くん?」
「ああ。それで良い」
俊くんの作ってくれたハムエッグは、塩加減が絶妙でとても美味しかった。