③わたしの執事はときどき俺様


まだ少し時間があるからと、俊くんが食後にカモミールティーを淹れてくれた。


登校初日の緊張が少しでも和らぐようにって。


えーっと……。


お茶を口にする前、わたしは昨日俊くんに注意されたことを思い返す。


まず角砂糖はスプーンの腹に置いて、利き手の反対側でカップの持ち手を持つ。

そして、ゆっくりスプーンをカップに沈めてかき混ぜる。


使用したティースプーンは、カップの手前ではなく後ろのほうへ置く。

それから、紅茶は音をたてずに飲む……だったよね。


「すげぇじゃん、菫様。昨日とは見違えるくらいに、今日はちゃんとできてる」

「ほんとに!?」

「ああ。ちゃんと覚えてて偉いな」


わたしの頭の上に俊くんの大きな手がのり、ポンポンとされた。


わっ……。


「菫様もやればできるじゃん」

「そうかな?」

「ああ。その調子で頑張れよ」


やばい。初めて俊くんに褒められちゃった。


これはけっこう嬉しい……かも。


< 17 / 36 >

この作品をシェア

pagetop