③わたしの執事はときどき俺様
おじい様からの突然の言葉に、わたしは開いた口が塞がらなくなる。
まさか、あの櫻乃学園に行けだなんて。おじい様も、どうせならもっと笑える冗談を言って欲しいわ。
「櫻乃学園だなんて、冗談ですよね? それともおじい様、もしかしてボケられたの?」
「何を言う! 冗談でもないし、ワシはボケてもおらぬ。失礼だぞ、菫」
「そもそもわたし、すでにもう進学する高校が別に決まっているんですが」
「それは心配ご無用。そこはもう入学辞退してある」
はああ?
入学辞退って、何を勝手なことしてくれてんの、このくそジジイ〜!
……と、思わず言いそうになったけれど。
わたしは口の先まで出かかった言葉を、必死に飲み込んだ。
それにしても、よりによってどうして櫻乃学園なの? わたしを由緒正しきお嬢様学校に通わせたいのなら、他にも沢山あるじゃない。
ほんと……櫻乃学園だなんて、ありえない。
わたしは、唇を噛みしめる。