③わたしの執事はときどき俺様


それにしても、俊くんってやっぱりモテるんだ。

長身で、整った綺麗な顔立ちをしているし。


そういえば、さっきから横を通り過ぎていく女子生徒たちが皆、俊くんのことをちらちらと見ていくもんなぁ。


「玲香さん、けっこうな美人さんだったけど。付き合わないの? 彼女となら将来、逆玉の輿も狙えるんじゃない」

「何をおっしゃいますか、お嬢様。玉の輿って、バカなのですか?」


バカって……!

外にいるからか、俊くんは丁寧な口調で話してはいるけれど、相変わらずだ。


「お嬢様。この櫻乃学園は第一、恋愛は禁止ですよ? もしもそれを破ったりしたら、最悪退学処分になります。それに私は、綾小路さんのことは何とも思っておりませんので」


そうなんだ。何とも思ってないんだ。


良かった……って、何をホッとしてるんだろうわたし。


< 20 / 36 >

この作品をシェア

pagetop