③わたしの執事はときどき俺様
それにしても、俊くんってやっぱりモテるんだ。
長身で、整った綺麗な顔立ちをしているし。
そういえば、さっきから横を通り過ぎていく女子生徒たちが皆、俊くんのことをちらちらと見ていくもんなぁ。
「玲香さん、けっこうな美人さんだったけど。付き合わないの? 彼女となら将来、逆玉の輿も狙えるんじゃない」
「何をおっしゃいますか、お嬢様。玉の輿って、バカなのですか?」
バカって……!
外にいるからか、俊くんは丁寧な口調で話してはいるけれど、相変わらずだ。
「お嬢様。この櫻乃学園は第一、恋愛は禁止ですよ? もしもそれを破ったりしたら、最悪退学処分になります。それに私は、綾小路さんのことは何とも思っておりませんので」
そうなんだ。何とも思ってないんだ。
良かった……って、何をホッとしてるんだろうわたし。