③わたしの執事はときどき俺様


「そういえば午後からは、お嬢様学科と執事学科それぞれの専門の授業だな」

「そうね」


学科の専門の授業は、それぞれ別々の教室で受けるから俊くんとは離れる。


学校で唯一ペアと離れる時間だ。


「菫様は、次何の授業なんだ?」

「茶道……だけど」

「だけど?」


わたしは黙り込んでしまう。


実はわたしは、茶道が大の苦手なのだ。


ずっと正座していなきゃならないのが、とにかく苦痛で。お茶も苦くてあまり好きじゃない。


だから、子どもの頃から嫌いな茶道のレッスンはいつも逃げてばかりだった。


そのせいで、茶道の基本もあまり身についていなかったりする。


「これまでの茶道の授業は座学だったけど、先生が今日の授業は実践で、実際にお茶会の形式でやってみるって言ってたんだけど……」

「まさかとは思うけど菫様、茶道の基本を覚えていない……とか?」


俊くんに聞かれて、わたしは素直に頷く。


「もしお前が授業で失敗して、評価がマイナスにでもなったら困るし……よし、これから残りの昼休みの時間で茶道の特訓だ」

「は!? いきなり何を言い出すの!? 嫌だよ」


せっかくの貴重なお昼休みなのに。


「嫌だよ、じゃねぇ。俺が特訓するって言ったらするんだよ。ほら、いつまでものんびりオムライス食ってないで、さっさと和室に行くぞ」


ひぃぃい〜。


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