③わたしの執事はときどき俺様
それから残りの昼休みの時間は、校内の和室で俊くんに強制的に茶道の基本を覚えさせられた。
「時間ないから、本当に基本中の基本だけしかできなかったけど。やってないよりかはマシだろ」
「ありがとうございます、俊先生」
ここは、素直にお礼を言っておくとしよう。
ああ。しばらく正座していたせいか、足が痺れる。
「それでは次の授業があるので、この辺で失礼致します。このあとの茶道、しっかりと頑張ってくださいね。菫お嬢様」
「はっ、はい」
俊くんが和室から出ていった。
ああ……俊くんに返事したものの、茶道なんてやっぱり嫌だ。やりたくないよ。
茶道の授業開始までは、あと10分。
……そうだ。嫌なら、ここからこっそり逃げだそう。そうしたら、授業を受けなくてすむ。
ふと、そんな考えが頭を過ぎったわたしが、和室の出入口へと向かうと。