③わたしの執事はときどき俺様


チャイムが鳴り、苦手な茶道の授業が始まった。


「今日は近々学園でお茶会が開催されるので、その練習も兼ねて、実際にお茶会の形式で行いたいと思います。まず正客、次客、末客を決めたいのですが……そうねぇ、誰にしましょうか」


先生が悩み顔で、生徒たちを見回す。


次客や三客・四客ならまだしも、お茶会に招かれたお客様の代表となる正客だけにはなりたくない。

だって、お茶会は正客を中心に行われていくんだから。

どうか指名されませんようにと、心の中で祈っていると。


「あのー、先生。私、正客は小鳥遊さんが良いと思いますわ」


どこからか、そんな声が聞こえた。


そちらに目をやると、声の主はわたしのすぐ隣にいた綾小路 玲香だった。

ちょっ、何を言ってるの綾小路さん!!


「あら綾小路さん、小鳥遊さんを推薦してくれるの?」

「ええ。なんと言っても、彼女はあの小鳥遊グループのご令嬢なんですもの。小鳥遊さんも以前、茶道は得意だとおっしゃってましたわ」


綾小路さんが、ニヤリと口角をあげる。


えっ。わたし、そんなこと一度も言ってないんだけど! 茶道は得意どころか不得意だし。

いきなり推薦され、わたしは慌てふためく。


「あらそうなの。では、正客は小鳥遊さんにお願いしようかしら。良いですか? 小鳥遊さん」


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