③わたしの執事はときどき俺様
先生に尋ねられ、わたしは考える。
正客はお茶の味の感想を述べる役割などが与えられているため、通常は茶道経験が豊富な人が正客に当たる。
だから、茶道の苦手なわたしは当然相応しくない。
「もしかして小鳥遊さん、引き受けるか迷ってらっしゃるの? 心配しなくても私が次客として隣でサポート致しますので、大丈夫ですわ」
隣にいる綾小路さんはそう言うけれど。
綾小路さんのこの不敵な笑み、きっとわたしに皆の前で失敗させて恥をかかせようとしてるんだ。
ここは断りたいところだけど……。
「小鳥遊さん? いいですか?」
クラスメイトの女子皆も見ているこの状況で、断れるわけないじゃない。
「はい、やらせて頂きます」
わたしは覚悟を決めた。