③わたしの執事はときどき俺様
そして、いよいよお茶会がスタートした。
わたしの目の前には、薄茶の入ったお茶碗と大福が置かれる。
えっ……。
それを見た瞬間、わたしは戸惑ってしまう。
通常は、お茶の前にお菓子が配られることが多いから。
「ふふ。小鳥遊さん、こういう場合はお菓子よりもお茶を頂くのが先ですわ」
わたしがしばらく固まっていると、隣に次客役で座っていた綾小路さんが小声で教えてくれた。
そっか。こういうときは、お菓子よりもお茶を頂くのが先……。
綾小路さんの言葉通り、わたしはお茶碗へと手を伸ばす。
だけど……。
ちょっと待って。
わたしはお茶へと伸ばした手を、引っ込めた。
綾小路さんは、さっきああ言ってくれたけれど。
本当にそうだっけ?
わたしは、何となく違和感を覚えた。
せっかく教えてくれた綾小路さんを疑うのは良くないけれど。
思い出すのよ、菫。
お昼休みに、俊くんから教わったのは確か……。