③わたしの執事はときどき俺様


そして、いよいよお茶会がスタートした。


わたしの目の前には、薄茶の入ったお茶碗と大福が置かれる。


えっ……。


それを見た瞬間、わたしは戸惑ってしまう。


通常は、お茶の前にお菓子が配られることが多いから。


「ふふ。小鳥遊さん、こういう場合はお菓子よりもお茶を頂くのが先ですわ」


わたしがしばらく固まっていると、隣に次客役で座っていた綾小路さんが小声で教えてくれた。


そっか。こういうときは、お菓子よりもお茶を頂くのが先……。


綾小路さんの言葉通り、わたしはお茶碗へと手を伸ばす。


だけど……。


ちょっと待って。


わたしはお茶へと伸ばした手を、引っ込めた。


綾小路さんは、さっきああ言ってくれたけれど。


本当にそうだっけ?


わたしは、何となく違和感を覚えた。


せっかく教えてくれた綾小路さんを疑うのは良くないけれど。


思い出すのよ、菫。


お昼休みに、俊くんから教わったのは確か……。


< 27 / 36 >

この作品をシェア

pagetop