③わたしの執事はときどき俺様
「そうだなぁ……ハンバーグが食べたい」
「ハンバーグか。ひき肉あったかな?」
すぐそばの冷蔵庫の扉を開ける俊くん。
「よし、材料は揃ってるな。今夜は菫様リクエストのハンバーグってことで、これから作ってやるから待ってろ」
そう言って俊くんが執事服を腕まくりしたとき、意外と筋肉があって、俊くんは細身だけどやっぱり男の子なんだと改めて実感する。
「ねぇ、何か手伝おうか?」
「お嬢様がそんなこと言うなんて初めてじゃない? 珍しいなぁ。もしかして明日は嵐か? つーかお前、料理とかできんの?」
「なっ、失礼しちゃう! わたしだって料理くらいできるもん」
「ほう。そんなに言うなら、お手並み拝見といこうか」
俊くんがにやりと微笑む。
「それじゃあお嬢様、そこの玉ねぎをみじん切りにして下さい」