③わたしの執事はときどき俺様


俊くんは、わたしの人差し指を掴んだまま、キッチンのシンクへと移動する。


俊くんは素早く水を出すと、さっきから俊くんに掴まれたままのわたしの指を、蛇口の流水へと持っていく。


誤って切ったところが、少し滲みて痛い。


切り傷の部分は、徐々に冷たくなっていくけれど。

俊くんに掴まれている指は、ずっと熱を帯びている。


ていうか、俊くんがわたしの後ろにぴったりとくっついて。


わたしの指を掴んでいないほうの腕が、私のお腹に回されているから。


まるで、俊くんに後ろから抱きしめられているみたい。


背中にたくましい胸板を感じて、ドキドキする。


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