③わたしの執事はときどき俺様


うそ……今、なんて?


俊くんらしくない言葉が飛び出さなかった?


「おっと、口がつい滑ってしまいました。今の言葉は忘れてください」


ふいっと顔をわたしから背ける俊くん。


「ねぇ、さっきわたしのこと可愛いって言ったよね?」

「言ってねぇ。つーか、さっきのことは今すぐお前の記憶から抹消しろ」


ふふ。俊くん、耳まで真っ赤になってる。


照れてる俊くん、レアで可愛いなぁ。



──最初は、裏表のある俊くんがわたしのペアだなんてどうなることかと思っていたけれど。


「お嬢様、何ニヤニヤしてるんだよ。キモいんだけど」

「えー、ハンバーグめっちゃ美味しいなぁと思って」

「そっ、そうか。そんなに気に入ってくれたのか」

「うん。また作ってよね」

「お、おう」


最近は、この生活も楽しいなぁなんて思い始めている。

そして、たまに偉そうだけど何だかんだ優しい俊くんのことも……最近は少し気になる存在になりつつある。


わたしのこの淡い想いが、恋へと変わるのは……まだもう少し先のお話。


fin.


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