③わたしの執事はときどき俺様
そして今、わたしは黒のリムジンの中にいる。
青々とした空の下、桜の花びらが舞い散る4月上旬。
今日は、私立櫻乃学園の入学式だ。
学園長と古くからの友人だというおじい様の図らいで、特別に入学試験は免除となった。
その代わりに作文と面接を受けて、入学できることになった。
しばらく車に揺られていると、まるでお城のような立派な建物が見えてきた。
あれが、櫻乃学園……。
「お嬢様、到着致しました」
運転手に車のドアを開けられわたしが車から外に出ると、春の暖かな風がふわりと頬をかすめる。
今日からわたし、ここに通うんだ。
校門をくぐり抜け、受付のところで名前を伝えると、自分のクラスと寮の部屋番号を書かれた紙を渡された。
「わたしは……1年B組、か」
そうポツリと呟いたときだった。