⑥姫は成瀬くんに守られたい✩.*˚
 授業が終わり、寮に戻る時間。
 勉強道具をカバンの中に入れている時だった。

 成瀬くんが耳元で「夜、連絡して」と耳元で呟き、メモ紙を渡してきた。そして何事もなかったかのように彼は教室から出ていった。
 

 その紙には、彼のスマホの電話番号が書いてある。
 メモ紙をそっと私の生徒手帳の中に入れた。

 その日の夜。

 私の部屋は一人部屋だからいつでも電話出来るけど、彼はふたり部屋だから一応確認してからの方がいいよね?

『今電話しても大丈夫ですか?』

 私はドキドキしながらその文を送るとすぐに着信が鳴った。すぐ電話に出る。

「もしもし」

 彼の声が聞こえる。
 その声を聞いただけで、心臓の音がもっと速くなる。

「……もしもし」

 それからお互いに無言になる。

「……騎士、誰にするか決まった?」
「ううん、まだだけど」
「ちゃんと、守ってくれそうな人にしろよ?」
「……うん」
「じゃあな」

 そう彼が言うと電話は切れた。

 えっ、それだけ?
 もっと何か話したいことがあるのかな?って思ったけれど。

 言葉数はお互いに少なかったけれど、なんだか今の電話の空気の居心地がとてもよかった。

 
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