⑥姫は成瀬くんに守られたい✩.*˚
 成瀬くんは姫の部屋にあるソファーがふかふかで気持ちいいからって理由で、何か話す時にはいつも私の部屋に入ってくる。

 私もソファーに一緒に座る。
 そして彼の隣に座り、ふたりで会話をしている。

 今までは教室で顔を直接合わせてもあんまり話せなくて、電話でちょっと話すぐらいだったけれど。

 直接顔を合わせても、会話が続くようになってきた。
 
「これ」

 スマホの画面にはあの事件の日の動画が。
 あの日の怖さがまだ残っていて、映像を見るのでさえ心臓がちょっとえぐられそうになったけれど。きちんと目を逸らさずにその動画を見た。

「これって……」

「そう。二條が脅された動画の前後」

「なんでその動画持ってるの?っていうか、どうして私が脅されたこと知ってるの?」

「二條が脅されて根本を騎士にしようとしてることは、仮の騎士になった日、帰り際岩山さんから聞いた」

「えっ!? 何話してるのかな?って思ってたけど、その話をしてたの?」

「そう、その時、岩山さんが言ってた。『お嬢様の騎士には俺が向いているから、騎士になって、お嬢様をお守りしてほしい』って。それに……」

「それに?」

「俺に騎士になってほしいって、実は二條が思ってくれていたことも……。」

「そんなことまで話してたんだ」

「そう、二條の気持ちを知って、俺は二條の騎士になるんだ!って、本気で決意した」

< 30 / 32 >

この作品をシェア

pagetop