✩.*˚again~かつて僕も人間に恋をしていた。

第3話 不快な気持ち*想視点

 ずっとあちこちの国を転々としながら、ひっそりその国に馴染むような姿をして生活していた。
 今は日本の北の地域で、大学生として生活している。

 ひっそりと暮らしている理由はヴァンパイアの存在がバレると、差別だとかで色々厄介だったからだ。

 ヴァンパイアには純粋にヴァンパイアの血だけな純血種と人間とヴァンパイアが混ざった混血種がいて、僕たち兄弟は前者だ。人間や混血種よりも力が強かったり、昔よりは耐性がついたとはいえ、太陽の光を長時間浴びるのが苦手だったりする。

 多分混血種よりも僕たちは人間の中に混ざって生きていくことは大変だと思う。

 そして弟の琉生(るい)と暮らしている。

 弟の琉生は人間との生活を堪能していて、尊敬する。自分とは真逆だ。

 そんな弟の琉生が太陽の光に長時間照らされ、弱ったタイミングで人間の女に助けられた。その助けられた女に琉生は興味を持ったらしい。

 興味というか、本来の自分たちの姿と同じヴァンパイアの姿をしていた彼女に一目惚れをしてしまったらしい。

 そして今、琉生と僕、その女の三人でなぜか駅前にいる。

 人間と深く関わると、ろくな事がないし、恋なんてしてしまったら最終的に傷つくのは琉生だから会わない方がいいと何度も言ったのに。

 ここに来るのも何度も断ったけれど何回も誘われ、今自分もこの場にいる。

 もしも琉生が本当に本気なら、このふたりを引き離す。

 それは、琉生のために――。







 
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