✩.*˚again~かつて僕も人間に恋をしていた。
 天宮くんはライブの練習、私はクラスの出し物であるかき氷屋の店の飾りを準備したりそれぞれしていた。

 そして外が薄暗くなってきた頃に合流。
 場所は私たちが出会った木の下で。

 合流して同じタイミングで座る。
 何から話そう……。

 ふたりで目の前にいる仲良しな小鳥たちを無言で眺めていた。
 くっついて幸せそうな2羽の青い鳥。

「仲良さそうだね」
「ね、つがいだね」

 私が話しかけると彼が答えた。

「天宮くん、想さんの部屋に飾ってある写真分かる?」
「兄貴と女が写ってるやつ?」
「そう。あのね、あれ私の前世なの」
「清香ちゃん?」
「うん。私ね、想さんと会ってから前世を思い出してね……だからふたりがヴァンパイアで、ずっと生きていることも知ってるんだ」

 同じ種類の鳥が飛んできて、オスらしき方と喧嘩を始めた。メスらしき鳥は不安そうに眺めている。

「そっか、うん、そういうことか」

 元からいた小鳥が思い切りつつくと、途中から来た小鳥は逃げていった。

「ここで初めて清香ちゃんを見た時、本当に一目惚れしたんだ。この女の子と永遠に一緒にいたいって、思った。しかもヴァンパイア本来の姿をしてたし、運命かな?って。あの時はいきなり血を吸おうとして、ごめんね」

「……」

「もしも、もしもだよ? 俺にも望みが少しでもあるなら、花火、ここで一緒に観てくれる? 俺、ライブ終わったらすぐここに来るから」

「……うん、分かった」

 私は、行かない!って言いきれなかった。
 天宮くんと一緒にいると楽しいし、永遠に一緒にいるのを少し想像出来てしまったから。
 ちょっと気持ちが揺らいでいた。

 でも――。

「よし、帰るわ。ライブ、練習頑張ってるから、楽しみにしててね!」

 そう言うと彼は正門を出て、帰っていった。
 私は彼の背中をずっと見つめていた。
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