✩.*˚again~かつて僕も人間に恋をしていた。
「清香ちゃん!」
沈んだ表情の天宮くんが走って来た。
「天宮くん、まだ出演者全員でやる合唱残ってるんじゃ……」
「ステージの上から清香ちゃんが兄貴にさらわれるのが見えたから、気がつけば追いかけてた」
「琉生、ごめん」
「なんで兄貴が謝るの?」
「いや、琉生が好きな人だから」
「もう、いいや! 俺、なんかひとりで空回りして、惨めじゃん」
「琉生……」
「好きなんでしょ? 清香ちゃんのこと。兄貴が好きになるの当然じゃん。清香ちゃんの前世は、兄貴の恋人だった、今でもずっと未練のある、あの子なんだから。清香ちゃんだって前世思い出したの、兄貴と一緒になるためじゃん、きっと……」
「天宮くん……」
「お幸せにね。俺は、人間たちよりも歌が上手くなって、世界のさらに上を目指してくるわ」
眉を下げながら微笑んだ天宮くんは去っていった。
「琉生……」
「天宮くん……世界のさらに上って、どこなんだろう……」
「どこだろう。多分琉生にしか分からない場所、かな?」
しばらく沈黙が続いた。
「ねぇ、琉生が今言ってたことって……じゃあ、僕たちがヴァンパイアだってことも思い出していて、知ってたの?」
「うん。私ね、永遠に、幸せに生きられると思うよ。想さんとなら」
沈んだ表情の天宮くんが走って来た。
「天宮くん、まだ出演者全員でやる合唱残ってるんじゃ……」
「ステージの上から清香ちゃんが兄貴にさらわれるのが見えたから、気がつけば追いかけてた」
「琉生、ごめん」
「なんで兄貴が謝るの?」
「いや、琉生が好きな人だから」
「もう、いいや! 俺、なんかひとりで空回りして、惨めじゃん」
「琉生……」
「好きなんでしょ? 清香ちゃんのこと。兄貴が好きになるの当然じゃん。清香ちゃんの前世は、兄貴の恋人だった、今でもずっと未練のある、あの子なんだから。清香ちゃんだって前世思い出したの、兄貴と一緒になるためじゃん、きっと……」
「天宮くん……」
「お幸せにね。俺は、人間たちよりも歌が上手くなって、世界のさらに上を目指してくるわ」
眉を下げながら微笑んだ天宮くんは去っていった。
「琉生……」
「天宮くん……世界のさらに上って、どこなんだろう……」
「どこだろう。多分琉生にしか分からない場所、かな?」
しばらく沈黙が続いた。
「ねぇ、琉生が今言ってたことって……じゃあ、僕たちがヴァンパイアだってことも思い出していて、知ってたの?」
「うん。私ね、永遠に、幸せに生きられると思うよ。想さんとなら」