ハーメルンの笛が聴こえるよ…
そんなある日のこと。
部活動が終了し、ショウカは1人で帰宅していた。
いつも一緒に行動しているフミは、今日は用事があるということで、学校を早退していた。
帰り道の途中にある川沿いの道を、ショウカは黙々と歩いていた。
すると、彼女は河原に何かが落ちているのを発見した。
【ソレ】は無造作に転がっていた。
ショウカは無意識のうちに、【ソレ】を拾った。
【ソレ】は見たこともない、奇妙な形をした笛だった。
楽器に詳しいショウカですら、一度も見たことがない笛だった。
大半の人は、落とし物を発見しても放っておく。
親切な心を持つ人は、交番に届ける。
普段のショウカも、どちらかの行動を取るタイプの人間だ。
しかし、彼女の思考をある欲望が支配する。
『笛を吹きたい…。』
ショウカはなぜか、手に取った笛を無性に吹きたくなった。
不思議なことに我慢ができない。
限界まで喉が渇いた状態に近かった。
そんな状態で水を渡されたら、誰だって夢中で水を飲むはずだ。
ショウカは辺りを見渡した。
周りには誰も居ない。
彼女はもう冷静では無かった。
もし冷静だったら、道に落ちている物に口をつけるなんてことはありえない。
『ふぅ…。』
ショウカは少し息を吐いた後、笛を演奏し始めた。
演奏家の感性なのか。
そういう風に設計されているのか。
なぜかショウカは、この奇妙な笛を鳴らすことができた。
『レシミラシシミラレ〜♪』
同じメロディーをひたすら吹き続けた。
今まで聞いたこともない、綺麗な音色が鳴り出した。
彼女は、何とも言えない極上の幸福感に包まれていた。
この楽器の音色に心を奪われた。
いつも演奏しているクラリネットでは味わえない、快楽がそこにはあった。
もう彼女に迷いなんて無かった。
ショウカは拾った笛を、通学用のリュックにしまった。
部活動が終了し、ショウカは1人で帰宅していた。
いつも一緒に行動しているフミは、今日は用事があるということで、学校を早退していた。
帰り道の途中にある川沿いの道を、ショウカは黙々と歩いていた。
すると、彼女は河原に何かが落ちているのを発見した。
【ソレ】は無造作に転がっていた。
ショウカは無意識のうちに、【ソレ】を拾った。
【ソレ】は見たこともない、奇妙な形をした笛だった。
楽器に詳しいショウカですら、一度も見たことがない笛だった。
大半の人は、落とし物を発見しても放っておく。
親切な心を持つ人は、交番に届ける。
普段のショウカも、どちらかの行動を取るタイプの人間だ。
しかし、彼女の思考をある欲望が支配する。
『笛を吹きたい…。』
ショウカはなぜか、手に取った笛を無性に吹きたくなった。
不思議なことに我慢ができない。
限界まで喉が渇いた状態に近かった。
そんな状態で水を渡されたら、誰だって夢中で水を飲むはずだ。
ショウカは辺りを見渡した。
周りには誰も居ない。
彼女はもう冷静では無かった。
もし冷静だったら、道に落ちている物に口をつけるなんてことはありえない。
『ふぅ…。』
ショウカは少し息を吐いた後、笛を演奏し始めた。
演奏家の感性なのか。
そういう風に設計されているのか。
なぜかショウカは、この奇妙な笛を鳴らすことができた。
『レシミラシシミラレ〜♪』
同じメロディーをひたすら吹き続けた。
今まで聞いたこともない、綺麗な音色が鳴り出した。
彼女は、何とも言えない極上の幸福感に包まれていた。
この楽器の音色に心を奪われた。
いつも演奏しているクラリネットでは味わえない、快楽がそこにはあった。
もう彼女に迷いなんて無かった。
ショウカは拾った笛を、通学用のリュックにしまった。