すべてを奪われ忘れ去られた聖女は、二度目の召喚で一途な愛を取り戻す〜結婚を約束した恋人には婚約者がいるそうです〜


 ハキハキとカイルが説明したけれど、それを聞いた殿下は目を丸くし、戸惑いながら私たちを見ている。


「えっと、カイルはいったいどうしたのかな? こんなベタベタと女性にさわる男じゃないはずなんだが? それに早馬で受け取った手紙には彼女が聖女だったと書かれていましたが、司教様、それは本当ですか?」


 問いかけられた司教様もカイルの変化に首をかしげ、結局答えたのは最後の質問だけだった。


「はい。それがちょっと説明が長くなるのですが、彼女が聖女だとジャレドは申しております」
「へえ……。彼女が聖女……」


 それを聞いたアルフレッド殿下は私とカイルを交互に見て、意味深な表情でニコリと笑った。


「それなら君が、私の婚約者になる女性ということかな?」
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