すべてを奪われ忘れ去られた聖女は、二度目の召喚で一途な愛を取り戻す〜結婚を約束した恋人には婚約者がいるそうです〜
「私たちにもわかるように説明してくれないか? 彼女の魔力が戻ったとはどういうことなんだ?」
カイルがすぐさま今までのことを説明すると、今度はそれを聞いた殿下が師匠に質問をし始めた。
「ではジャレドが、検査板に細工をしたのかい?」
「いいや、なにもしてないよ。ただ僕がさっき魔力を流して、サクラの呪いを調べただろう? その魔力が彼女の体に残ってただけだよ」
「サクラの体に、聖魔力が残ってる?」
たしかに魔力のない原因を探るため、師匠が私に自分の聖魔力を流した。それが体に残っていたってこと?
(それなら聖魔力さえ体に流せば、みんな虹色の光が出せるのかな。王女もそうやって不正をした? でも聖魔力持ちは、カイルとジャレド師匠と司教様よね。この三人が王女の不正に加担するとは思えない……)
しかし答えは違うみたいだ。同じことを質問したカイルに、師匠は手を横に振って否定している。
「それは無理なんだ。普通の人に聖魔力を流しても、体の中を通り抜けるだけで体には溜まらない。聖魔力を受け取れる体じゃないからね。きっと王女は魔力を溜められる石かなにかに、誰かの聖魔力を入れて持ってたんじゃないかな? だけどサクラもさっきの検査で僕の魔力は使っちゃったから、今は反応しないと思うよ〜」
「なんだって?」
その言葉にあわてた司教様が、検査板を私に差し出した。すぐさま検査をし直すと、ジャレドの言うとおり虹色はおろかなんの光も出てこない。