すべてを奪われ忘れ去られた聖女は、二度目の召喚で一途な愛を取り戻す〜結婚を約束した恋人には婚約者がいるそうです〜
(あれ? でもどんどん熱くなっていく……)
師匠から伝わる魔力は、最初じんわりとぬるま湯につかっているような温かさだったのに、次第に痛いほどの熱さに変わっていく。
「う……うあ……」
「ごめんね、サクラ。もう少しで終わるから。いい子だから我慢して」
(熱い! 苦しい! 息が、息ができない……!)
まるで体中に熱風が吹いているみたいだ。鼻で息をすることもできず、私は思わず師匠の腕に手をかける。あまりの苦しさに瞳に溜まった涙が一滴こぼれた。その時だった。
「はい、終わり。サクラ、いい子だったね」
その言葉と同時に、体から一気に力が抜けた。さっきまでのあの熱い息苦しさはなくなり、私は必死に呼吸を整えている。それでも酸欠状態の私の足元はふらつき、目の前の景色が歪み始めた。
するとぐらりと後ろに倒れそうになった時、誰かが私の体を受け止めてくれた。
「サクラ……っ!」