すべてを奪われ忘れ去られた聖女は、二度目の召喚で一途な愛を取り戻す〜結婚を約束した恋人には婚約者がいるそうです〜
「ジャレド氏! サクラの呪いに関わっているかもしれないのです。さっさと思い出してください!」
「アンジェラの家庭教師になったのは一年と少し前だ。サクラさんは一年前に呪われたのだろう? なら時期も合っている。エリックの魔術はそんなにすごいのか?」
「え〜? 僕より天才ってことはないと思うけど。なんで紹介状なんて書いてるんだろう? 偽物じゃないの?」
「サインには魔力がこもっている。それが登録しているおまえの魔力と同じなのを確認して採用しているのだ。偽物ではない」
「う〜ん……じゃあ誰だろう?」
「ジャレド!」
いっこうに思い出せない師匠に二人は頭を抱え始めている。すると突然部屋のすみからおずおずと話しかけるブルーノさんの声が聞こえてきた。
「あの、発言をお許し頂けますでしょうか?」
振り返るとブルーノさんとアメリさんがこちらをじっと見て、なにか言いたそうにしている。殿下の許可をもらうと二人は顔を見合わせうなずき、まずはブルーノさんから話し始めた。
「エリックという方は先ほどアンジェラ王女と一緒に来た男性ですよね? それでしたら以前ジャレド様が弟子として雇っていましたよ」
「へ? そうだっけ?」
再びみんなの視線が師匠に集まった。証言する者が出たからか、ジャレドはさすがにあせった顔をしている。すると今度はアメリさんが話し始めた。