すべてを奪われ忘れ去られた聖女は、二度目の召喚で一途な愛を取り戻す〜結婚を約束した恋人には婚約者がいるそうです〜


「師匠! 大丈夫ですか? 顔色が悪いですよ」
「……ああ。ほら、今日はみんなに責められるし、いっぱい喋ったから疲れちゃった〜」


 ヘラリといつもの調子で笑っているけど、やっぱりつらそうだ。私が背中をさすると、シャツが汗で濡れている。すると司教様が師匠の肩をポンと叩き、ブルーノさんたちを呼んでくれた。


「ジャレドを客室に案内してやってくれ。今日はもうみんな疲れているだろう。昼の食事もまだだったから休憩しよう」


 そういえば今日はいきなり師匠が現れて、そのうえ王女たちまで来たからまだ昼食を食べてなかった。そのことに気づくと、とたんにお腹が空いてくる。思わず音が鳴りそうなお腹を押さえると、それを見た殿下がクスッと笑って立ち上がった。


「では私は王宮に帰ります。カイル、ケリーを貸してくれないか? アンジェラたちの対処をしたら、報告がてらまた教会に戻ってもらおうと思うのだが」
「わかりました。ケリー頼んだぞ」
「は!」


 そのまま急ぎ足で殿下とケリーさんは部屋から出て行き、師匠も客室に案内されて行った。残った私たちは司教様の計らいで、アメリさんやブルーノさんも一緒に食事を取ることになった。


「うわ〜! 教会のシチューだ! 嬉しい!」
「サクラ様はシチューがお好きなんですか? 他にどんな好物がありますか? 私知っておきたいです!」


 懐かしい味を満喫していると、アメリさんとブルーノさんが興味津々の顔で私を見ていた。
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