すべてを奪われ忘れ去られた聖女は、二度目の召喚で一途な愛を取り戻す〜結婚を約束した恋人には婚約者がいるそうです〜
(最初に召喚された時も、こうやって私の好みを知りたがってたなぁ。記憶がなくてもまたこうやって親しくなれるなら楽しい!)
「えっと、まずはこの野菜たっぷりのシチューでしょう。あとはデザートのフルーツプディング。塩味の白パンも好きだよ! あと、アメリさんも大好きな野いちごのジュースも!」
そう言うとアメリさんは目をキラキラさせて喜んでいる。
「私の好みも覚えてくださっているんですね! 料理人も喜びます!」
「ミリアさんだよね! 彼女の作るお惣菜のパンが大好きだって伝えてほしい!」
「ふふ。わかりました!」
今日はちょっと甘みのある黒パンだけど、もちろんこれも美味しい。焼き立てのパンを食べられるのは、日本で暮らしていた私には贅沢な食事だ。
「他にはありませんか? 私たちが以前していたことがあれば教えてください」
今度はブルーノさんが質問してきた。基本的に身の回りの世話はアメリさんがしていたけど、私は彼からもらって大事にしていた物があった。
「あのね、ブルーノさんが作ってくれた花のポプリが欲しいの。ブルーノさんの生まれた地方に咲く花で、枕に入れるとよく眠れるからってプレゼントしてくれたんだけど……わかるかな?」
するとブルーノさんの優しいブラウンの瞳が一気に輝き出した。