すべてを奪われ忘れ去られた聖女は、二度目の召喚で一途な愛を取り戻す〜結婚を約束した恋人には婚約者がいるそうです〜
「ごめんごめん。さすがに意地悪だったね。……たださ〜サクラは自分からこんな愚痴は言わないだろうから、みんなに知ってもらいたかっただけだよ」
「いや、言ってくれてありがたい。俺はサクラの気持ちを一番大事にしたいから」
ぐっと拳を握りそう言うと、ジャレドは思いの外優しい表情で笑った。
「それならいいよ〜。あとは刺激を与える程度に、サクラに魔力をわけてあげて」
「ああ、わかった」
俺が真剣な表情でうなずくのを確認すると、ジャレドは司教様たちに向かって話し始めた。
「そういえばサクラがどうして王宮に現れたのか見当がついたよ〜」
「本当か!」
「伯父さんからの手紙に書いてあったけど、サクラが元いた世界に戻されてから教会で聖女召喚をしたんでしょう?」
「ああ、しかし失敗に終わって……もしかしてその召喚で彼女はこの国に来たのか?」
「たぶんそう。でもサクラには呪いがかかってたから、時間と場所がずれたんだと思う」
すると今度はアルフレッド殿下が疑問に思っていたことをジャレドに聞き始めた。