すべてを奪われ忘れ去られた聖女は、二度目の召喚で一途な愛を取り戻す〜結婚を約束した恋人には婚約者がいるそうです〜


「それにきっと君の妹もそれが気に食わないんだろうね。サクラが現れる前は自分がこの国で一番だと思ってたんだもん。それなのにサクラが現れたとたん、みんな聖女様聖女様って大喜び。顔もかわいいし優しくて真面目。そのうえ親しみやすいから聖女サクラは民衆にも大人気だったからね〜」


(そうだったのか……アンジェラ王女のあの執着ぶりはおかしいと思ったが、そんな背景があったのか)


「とにかく我儘放題に育った彼女が、さっきのアルのお説教で改心するわけないよ。聖女は陛下と同じ地位だから、自分が頭を下げないといけない。そのうえ憧れの騎士様もサクラに取られちゃったんだからさ〜」
「え……今なんと?」


(今の言葉……もしかして俺とサクラは恋人同士だった?)


 ジャレドは俺が反応したからか、気まずい顔で口を押さえている。


「ジャレド氏! その……俺とサクラはどういう関係だったのだろうか?」


 するとその質問を聞いたジャレドは、じっと俺を見つめなにも話さない。しばらくそうして沈黙したあと、彼はふうっと息を吐き口を開いた。


「……さあね。サクラは君と最初に会った時どんな顔をしてたの? あの子は表情に出るから、それで彼女の気持ちは十分わかるんじゃない?」
< 150 / 225 >

この作品をシェア

pagetop