すべてを奪われ忘れ去られた聖女は、二度目の召喚で一途な愛を取り戻す〜結婚を約束した恋人には婚約者がいるそうです〜


「師匠〜! まだ早朝ですよ! みんなもまだ起きて……る! なんでみんな起きてるんですか?」
「「起こされたんです」」
「サクラ、君が最後だ」


 ジャレドの後ろにはブルーノさんとアメリさん、そしてカイルがいた。みんな興奮したジャレドに起こされ、私の呪いを解く旅の支度をしていたらしい。


「こんな朝早くにすまない。サクラはもう少しあとで起こしに行くとジャレド氏には言ったのだが、目を離したすきに君を起こしに来たらしい。すぐに追いかけたのだが間に合わなかった」
「だってサクラが起きたら出発できるんだよ? 待ちきれないよ〜」


 どうやら三人は私よりかなり早く起こされたらしい。朝に弱いアメリさんは苦笑いして眠そうだ。


「でも師匠、私の魔力はまだ溜まってないのでは?」
「たしかに。じゃあ調べてみよう!」


「魔力のことを考えてなかったのか」というツッコミを入れる暇を与えず、師匠は私の手をサッと握ると魔力を流し始める。すると師匠は少し驚いた顔をしたあと、満足そうに笑った。
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