すべてを奪われ忘れ去られた聖女は、二度目の召喚で一途な愛を取り戻す〜結婚を約束した恋人には婚約者がいるそうです〜


「予想以上にあるじゃないか! これならケセラの町に着く頃には浄化ができるほど溜まってるよ! じゃあ、出発だ!」


 師匠は握ったままの手を引っ張り、パジャマ姿の私を外に連れ出そうとしている。


「待って待って! 着替えさせてください! それに朝ご飯を食べてから行きましょう!」
「あ、すっかり忘れてた」


 朝ご飯と聞いたら師匠もお腹が空いたみたいだ。そのままカイルたちは食堂へ、私とアメリさんは着替えと旅の準備をすることになった。


(はあ……呪いが解ける日が早まるのは嬉しいけど、あと一日くらいはゆっくり過ごしたかった)


 それでも久しぶりにアメリさんと二人でお喋りができると思うとウキウキしてくる。食事はあとでブルーノさんが持ってきてくれるし、少しだけでも女子会気分を楽しもう!


「ケセラの町は風が強いですから、埃よけにストールも入れておきましょう」
「ふふ。ありがとう」


 なんとアメリさんは昨日から私の服を用意してくれたらしく、たくさんの可愛い服をバッグに入れている。


(なつかしいな。最初の召喚で旅した時もこうやって一緒に旅支度したよね……)


 そんな思い出に胸を熱くさせていると、アメリさんが首をかしげながらほほ笑んだ。

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