すべてを奪われ忘れ去られた聖女は、二度目の召喚で一途な愛を取り戻す〜結婚を約束した恋人には婚約者がいるそうです〜
「もしかして、以前も同じ会話をしたことがありますか?」
「……うん。ごめんね。嫌だった?」
悪気はなかったけど頻繁に私がニヤついて見てたら嫌かもしれない。そう思った私があわててアメリさんに謝ると、彼女は結んだ髪の毛が荒々しく揺れるほど否定した。
「そんなことありません! 私は思い出を取り戻したいんです。きっとサクラ様と過ごした時間は、幸せなものだったと思うから……」
「アメリさん……」
「でも、一番取り戻したいと思ってるのは、カイル様でしょうけど!」
「――っ!」
じーんと感動しているところにいきなりカイルの話題を持ち出され、グッと息を止めてしまった。
「サクラ様、顔が真っ赤です! やっぱり以前もお二人は恋人同士だったのですね!」
「……うん。旅の最後にね、想いを二人で打ち明けあったの。だから旅の途中はずっとアメリさんと恋の話で盛り上がってたよ!」
私はカイル。アメリさんはブルーノさん。お互い「意識してるんでしょう?」「してませんよ〜」なんてからかい合っていた。すると「恋の話で盛り上がっていた」というのを聞いたアメリさんが、ポッと頬を染めモジモジし始める
「恋の話……もしかして、私もサクラ様に言っていました? その……」
「ブルーノさんのこと?」
「きゃあ! やっぱり!」
アメリさんも顔が真っ赤だ。しかもこの話をしているちょうどその時にブルーノさんがご飯を持ってきたので、二人で大慌てしては笑っている。