【コミカライズ配信中】すべてを奪われた聖女~二度目の召喚で待っていたのは処刑でした~
「みんな聞いてくれ。旅の計画なのだが、まず目的地であるケセラの町がここだ。急げば一日で着く距離だが、報告では結界の穴から出ている瘴気の量が多いらしい。そこでそのひとつ前にある『カレブ』という町を目指そうと思う。ここなら休憩しながらでも日没前には着くだろう」
「わかりました。カレブなら時々訪れますので道に迷うこともないです」
「助かるな。よろしく頼む」
馬車の手綱を取るのはブルーノさんだ。そのまま地図を受け取ると御者台に向かっていく。残った私たちも急いで馬車に乗り込むと「出発します!」というブルーノさんの掛け声とともに、馬車はカレブの町目指して走り出した。
「司教様も見送りたかったみたいで残念がってましたよ」
「まあ、しょうがない。司教様が見送ると目立ってしまうからな」
「ふふ。おじいちゃん……」
予想どおり馬車の旅は快適だった。私が馬車の揺れに慣れているのもあるけど、疲れたら横になれるのがなかなか良い。私たちは酔わないように、休憩を重ねながらカレブの町に近づいていった。
「あれ? 師匠、もう起きて大丈夫なんですか?」
もうそろそろカレブの町につくという頃、外で最後の休憩をしていた時だった。さっきまでスヤスヤと寝ていた師匠がやけにスッキリした顔で馬車から出てきた。