【コミカライズ配信中】すべてを奪われた聖女~二度目の召喚で待っていたのは処刑でした~
「明日は夜が明けたらすぐに出発しよう。そしてケセラに着いたらすぐに呪いを解きたいのだが、サクラの魔力は大丈夫だろうか?」
「じゃあ、調べてみよう〜! サクラ、お手!」
「「怒りますよ」」
私とカイルの声がシンクロし、顔を見合わせる。なぜか私たちよりもまわりの皆のほうがニヤニヤしているのが気になるけど、知らんぷりして師匠に向かって手を差し出した。
「おお〜凄いじゃないか! もう以前と同じくらいに戻ってるよ」
「たしかに……なんとなく魔力の感覚を取り戻した感じがします」
一年も魔力とは関係ない生活をしていたから感覚が鈍っていた。正直に言うと浄化のコツもちょっと忘れている。
(でも明日は絶対に成功させなきゃ! そして呪いを解いたらさっさと教会に引きこもる!)
結局私たちは食事を終えると、明日に備えすぐ寝ることにした。それでも解呪のことを考えるとドキドキして眠れず、私は無意識に胸元を探っていた。
(そうだ、もう無いんだった……)