すべてを奪われ忘れ去られた聖女は、二度目の召喚で一途な愛を取り戻す〜結婚を約束した恋人には婚約者がいるそうです〜
探していたのは、ケセラの町でカイルと贈り合ったネックレス。お互いの魔力を入れた小さな瓶のチャームがついていて、それをかけながらカイルが私にプロポーズをしてくれた。
日本に戻されて淋しい時、もう一生会えないんじゃないかと不安になった時。いつでもそのネックレスにふれると、気持ちが落ち着いた。
(でも今はまたこの世界に戻ってきて、カイルがずっと隣で守ってくれてる。ネックレスのことを忘れても、私に誓ってくれた……)
その思い出がなによりのお守りだ。ネックレスはアンジェラ王女に壊されてしまったけど、私とカイルの絆は切れるどころか強くなっている。
(絶対に浄化を成功させてみせる……!)
そう強く心に誓うとスッと緊張がほどけていく。私はゆっくりと瞼を閉じると眠りについた。
「おはよう、サクラ! 顔色は良いけどよく眠れただろうか?」
「カイル、おはよう! けっこう寝られたよ。魔力も体にみなぎってる感じがする」
師匠に確かめてもらったら、予想どおり魔力が完全に戻っているらしい。
「これなら何回か浄化を失敗しても平気だと思うよ。緊張せずにやれそうで良かったね~」
「はい! じゃあ急いで出発の準備をしてきますね」
軽く朝食を取るとすぐに出発だ。外に出るとまだ人はまばらで、通り過ぎる人たちはみんな赤い顔で欠伸をしている。もしかしたら昨夜はアンジェラ王女の結婚を祝って飲み明かした人が多いのかもしれない。