すべてを奪われ忘れ去られた聖女は、二度目の召喚で一途な愛を取り戻す〜結婚を約束した恋人には婚約者がいるそうです〜


(これから行くケセラの町も一緒かな? 人が少ないうちに呪いを解きたいから好都合かも!)


 そんなことを考えていたら、カイルも同じように思っていたみたいだ。


「ちょうどいいな。たぶんケセラも酔っ払いが多いだろうから、人が多くなるのは昼過ぎだろう」
「そうだね。怪しい人がいたら見つけやすそうだし今のうちに出発しよう」


 ケセラは国境付近の町だ。出発地点であるカレブの町からは少し時間がかかる。私と師匠は魔力を消耗しないよう、横になりながら話していた。もちろん添い寝状態にならないよう、真ん中にはカイルが座っている。


「私たちがケセラの町に行くことは、アンジェラ王女たち気づいてないですよね?」
「アルが僕たちを裏切ってバラしてなきゃね~」
「殿下が言うわけないだろう。それにこんなに早く呪いが解かれるとは予想していないはずだ」
「まあね。いったん魔力がゼロになると、戻すのにひと月はかかるから。そういった意味ではサクラは異常に早いね」


(それならエリックは私たちがまだ教会にいると思ってるよね。それに結界の穴から解呪すること、彼は思いついていないのでは……)
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