すべてを奪われ忘れ去られた聖女は、二度目の召喚で一途な愛を取り戻す〜結婚を約束した恋人には婚約者がいるそうです〜
25 最後に見つけた光
(えっ? ケリーさんが私を裏切った? 師匠は突然なにを言ってるの?)
驚いて振り返ると、ジャレドはすでに臨戦態勢に入っていた。高くかかげる手には魔力がこめられており、今にも攻撃しようとパチパチと火花が飛んでいる。初めて見るジャレドの本気の魔力に、私は声を出すことすらできない。
「ジャレド氏! いったいどうしたんだ!」
「は? え? お、俺が裏切った? ジャレドさんはなにを言って……」
「おまえ、王女に情報を流しているだろう」
「なに!?」
(ケリーさんがアンジェラ王女に、私たちの情報を流している?)
その言葉にみんな唖然とした表情で師匠とケリーさんを見ている。ケリーさんはなにを言われているのかわからないようで「え? 王女に俺が?」と言ってオロオロし始めた。その間も師匠はケリーさんに向けた手を下げることはない。それどころかさっきよりも魔力の量が多くなっている。