すべてを奪われ忘れ去られた聖女は、二度目の召喚で一途な愛を取り戻す〜結婚を約束した恋人には婚約者がいるそうです〜


「師匠! この魔術はきっとエリックの仕業ですよね? それならばこの魔法陣を作ったのは師匠なのでは?」
「……そうかも」
「もしかして盗聴の魔術に自分だけはかかりたくなくて、魔法陣が師匠にだけ見えるように作ってません?」
「……ありえる」
「早くこの魔術を解いてください!」


 きっとこれも呪いの魔術と一緒に作ってエリックに破棄させたものだろう。盗聴という魔術なのだからターゲットに知られないように魔法陣の発動を隠す必要がある。


(きっと殿下にあげるつもりで作ったけど、自分自身に使われちゃ困ると思ったんだ。それにしてもエリックはどこまで知ってるんだろう?)


 師匠はあっという間に魔術を解くと、今度は私とアメリさんの手を引っ張り魔力をため始める。
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