すべてを奪われ忘れ去られた聖女は、二度目の召喚で一途な愛を取り戻す〜結婚を約束した恋人には婚約者がいるそうです〜
そのままほぼ一睡もしないまま朝まで体を休めていると、慌てたケリーの声が部屋に飛び込んできた。
「団長! 大変です!」
「王女が動いたか?」
「はい、実は――」
なんて下劣なことをするつもりなんだ。王女は昨日の女性の処刑を行うという。誰が許可したかというと、やはり王女の父親である国王陛下だった。
(やはり、陛下に頼んだか……)
「どうされますか? まだ侵入した理由もわかっておりませんし、彼女はただ送り込まれただけかもしれませんよ」
「ああ、しかしアルフレッド殿下が戻るのは、早くても昼過ぎだ。それに殿下が止めたとしても、陛下が決断されたのなら、時間の問題だろう」
実際に王家の権力は強い。対抗できる力は聖教会しかないのだが、まったく関わりのない事件に首を突っ込ませるわけにもいかない。
「……ケリー、無謀なことかもしれないが、頼みを聞いてもらえるか?」
「今さらですよ! 俺の命は団長に預けてるんですから!」
俺はケリーの頭を乱暴に撫でると、侵入者である彼女を救うための作戦を話した。