【コミカライズ配信中】すべてを奪われた聖女~二度目の召喚で待っていたのは処刑でした~
(お、お尻がいた〜い!)
しっかりつかまっていても、スピードが早いのでお尻がバウンドして痛い。私があと少しでお尻の皮がむけそうだと心配し始めた頃、ようやく目的地に到着した。
「ほら、あそこが聖教会だ」
「…………」
懐かしい景色に、胸の奥が苦しい。もうこの辺りの道は私がよく知っている場所で、この場にいるだけで切なくなってくる。遠くに見える教会の建物もなにひとつ変わっていない。
私はまるで浄化の旅から帰ってきたような気持ちで、涙をこらえながらじっと見つめていた。すると教会の入り口からひょこっと人が出てきた。その人は驚いた様子で、また中に入っていく。
「……やはり知られていたか」
(え? なに?)
「いや、大丈夫だ。行こう」
そのまま馬を走らせ教会の入り口で止めると、そこにはたくさんの人がずらりと待ち構えていた。私たちが現れると同時に中央にいる人だけを残して、皆ひざまずく。
「お待ちしておりました。カイル・ラドニー聖騎士」
(司教様……)
たくさんの人を後ろに従えて立っているこの人こそ、私をオズマンド国に召喚した司教様だった。