【コミカライズ配信中】すべてを奪われた聖女~二度目の召喚で待っていたのは処刑でした~
「久しぶりだね。サクラ!」
「――っ!」
(く、苦しい〜! それにしてもなんで師匠は私のことを覚えているの?)
きつく私を抱きしめる師匠の胸元から顔を出し、大きく深呼吸をする。なぜ私のことを覚えているのか詳しく聞きたいけれど、ジェスチャーでどうやって伝えればいいの? しかしそんなことを悠長に考えている暇はなかったようだ。
「ジャレド! サイラから離れろ! 彼女はあなたの遊び相手ではない!」
「ん? サイラって誰のこと? それにその物騒なものしまってほしいんだけど?」
再びカイルの剣が、師匠の首に当たっている。そっと隙間からカイルの顔を見上げると、ギシギシと音が聞こえるほど歯を食いしばり、凄みのある目つきで今にも師匠の首を掻き切ってしまいそうだった。