すべてを奪われ忘れ去られた聖女は、二度目の召喚で一途な愛を取り戻す〜結婚を約束した恋人には婚約者がいるそうです〜
「私もあなた、いえ、サクラさんを知っていたということでしょうか? この教会で働いていたのですか? それとも王都に住まわれている貴族令嬢なのでしょうか?」
司教様ほどの地位なら、会える人は限られている。そのうえカイルやジャレドまでが覚えている人という前提なら、教会の職員か貴族だと考えたのだろう。
しかしその問いかけに答えたのは私ではなく、師匠のジャレドだった。
「伯父さん、それはひどいな〜。その質問、サクラにとっては一番悲しいと思うよ?」
「なんだと? この質問が?」
司教様の戸惑う姿を、師匠は苦笑いして見ている。
「そうそう。ずっと伯父さんのそばにいて、あんなに可愛がってあげてたのに〜」
「そ、そうなのですか? 私が……?」
司教様の困惑した視線に思わず目をそらしてしまったけど、私はこの質問にもそっとうなずき肯定した。その返事に司教様は言葉をつまらせうつむいている。