【コミカライズ】そんなことも分からないの?
 リオネルは自ら屋敷の中を案内してくれた。
 
 広々としたエントランスには美しい花々が飾られており、明るく開放感に溢れている。
 リビングや客室は壁の代わりに大きな窓が四方を覆っており、美しい自然や海の眺めをいつでも楽しむことができる。


「この部屋は朝は明るい水色に、夕暮れ時には鮮やかなオレンジ色に、夜には深い藍色に染まるんだ」

「そうなんですね。……すごく綺麗です」


 今は夕暮れ。茜色に染まっていく空と海のコントラストが美しく、イネスは思わずため息を吐く。


「気に入ってもらえたようで良かった。次は君の部屋を案内しよう」


 一階に負けず劣らず、イネスの部屋はとても素晴らしかった。大きな窓からはいつでも海を楽しむことができるし、バルコニーに出れば潮風が感じられる。


「ここで読書をしたら、とても楽しそうですね」

「そうだろう? 侍女に頼んだら、いつでも冷たい茶を用意してくれる。それを飲みながら海を眺めると、最高に気持ちが良いんだ。イネスも試してみると良い」


 リオネルはそう言って、後からイネスを抱き締める。イネスの心臓がドキッと大きく跳ねた。


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