キッチンカーのプリン屋さん。
「まぁ、いいや。今から遊ぶぞ」
「は? なんであんたなんかと……」
「口答えすんの? 俺みたいなのがお前みたいなのと遊んであげるって言ってんだ素直に来いよ」
この男は、相手を貶して自分を優位に立たせる。
付き合っていた時はそれに従っていた。それでそれに歯向かうものなら容赦せずに殴るのだ。
「私は宙とはもう関わりのない人。あなたに従う理由もないわ」
「は? 俺に歯向かうのか?」
何度も言われてきた言葉。
この言葉で傷つけられ、自己肯定感は下がり人と関わることが怖くてずっと引きこもりだった。
だけど、今は家で好きな小説を書くお仕事をして自己肯定感はきっと上がってきたと思うし志侑さんに出会って女子としての自信もついてきたって自分では思っている。
志侑さんに、『可愛い』って言ってもらった日から……
「もう一度言うわ。私があなたに素直に従う理由はない。今は無関係の人に従う理由なんてないわ」
「……っはぁ!?」
「それに、あんた周りを見た方がいいわよ。さっきから、ジロジロ見られてること」
そう私が言えば、彼は舌打ちだけしてどこかに行ってしまった。
だけど、急に過去の自分が思い出されて一瞬で怖くなる。過去に引き戻されるような感覚に陥って涙が出てきてしまう。