鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない
 彼の開いている両足の間に入ったオデットが不思議に思ってそう聞けば、キースは苦笑して首を振った。

「いや。何もない。廊下では、絶対に襲いたくないなと思っただけ。ベッドでしたいという、俺の理性が完全勝利した。勝因はオデットが自ら俺の元に来てくれるのを待つという、待ち伏せ作戦だ」

「ふふっ……廊下では嫌です」

「そうだろ? だから、俺は獲物が近付いてくるのを待つ事にした。そうすれば、待ち切れない手が間違って廊下で服を脱がしてしまうこともない……こうして」

 可愛らしい寝巻きの釦を外し始めたキースを、オデットは慌てて止めた。

「あ。ちょっと待ってください。傷を治してからっ……」

「良い。さっきも言った通りに、そこまで深手の傷ではないし……オデットの能力が消えたかの、お試しにちょうど良いだろ?」

「丁度良いって……きゃっ」

 いきなり、彼女を縛る鎖となる胸元の宝石に触られてオデットはビクリと身体を震わせた。

「これは……一見綺麗だが、取れないのが悩ましいな」

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