鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない
 いつも自分が口にしていることの揚げ足を取られ、キースは嫌な顔をした。

(……この子は、俺が行動に責任を持つ部下じゃない。それに、男は可愛い女の子には甘くもしたくなるだろう。それは、俺だけじゃない)

(好きなのか)

 年齢の高いセドリックは、言葉が少ない分だけ直球になりがちだ。

 その言葉に、何も返さなかったのは言葉に詰まったからではなくて、オデットに夕食の用意が出来たからだと呼ばれたからだった。

「……どうですか……」

 不安そうにこちらを見る顔は、可愛い。

 キースの周囲は上流階級の女性が多いし一応王族の名を連ねているので、必要な時に彼の世話する女官も選りすぐられた者になる。望んでいなかったが、目は肥えているはずだ。

 それでも、彼女が光を纏うように見えるほどに可愛いのだから。自分がやたらと甘くなってしまうのは、オデットが可愛いからそれは仕方がないと言い聞かせていた。

「美味しいよ。ありがとう」

 オデットはもしかしたら味見をし過ぎて舌がおかしくなっているのかもしれないが、自分が調味料を間違えたことには気がついていないようだった。

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