鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない
 それ以外なら役に立つことが出来るからと意気込んだ様子のオデットを落ち着かせようと、キースは片手を振った。

「わかったわかった。嘘では、ないから。どうか、落ち着いてくれ。だが、俺は……違う理由でも、あまりオデットを連れて行きたくはないな……」

「どうしてですか?」

 何があるのかときょとんとした顔をしたオデットに、キースははあっと大きくため息をついた。

「俺たち二人は年齢差があるが、部下にはオデットに年齢の近い……何と言うか、ちょうど良いのが揃っているから。誤解しないで欲しいんだが、君を疑っている訳でも、可愛い部下を信じてない訳でも何でもない。俺がもう少し若かったらと、思うだけだ。要するに、醜い嫉妬だ。だからと言って、時間は戻らないから。こういう良くない思索も全部無駄なんだとはわかってるんだが。あー……なんか、俺も歳取ったな……」

 しみじみと言ったキースに、オデットは首を傾げた。

「……キースって、何歳でしたっけ?」

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