鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない
(え。何で……私が、城で仕事したいって言い出したから? その事でキースが、あんな風に責められるなんて……思ってもみなかった)
物陰に隠れていた彼らを見ていたオデットは、キースが歩き出しそうになったのを見て慌てて彼に駆け寄った。
「あんな! あんな嫌な言い方、ないよ! これは、私が自分でしたいって言って……キースは、別に何もしなくて良いって言ったのに……悔しい。あの人は何も知らない癖に。何であんなことを、言われなきゃいけないの……」
実情も知らない人間の憶測に自分のせいで非難されたキースを見上げて、オデットは彼の腕をぎゅうっと強く握った。
オデットの必死な表情を見て、キースは気にするなと言わんばかりに、いつものように微笑んだ。
「はは。あー、まあ。世間を知らないオデットには、わからないか。あの人は、俺の立場が羨ましくて仕方ないんだ。エズウェル大臣も一応公爵家の一人ではある。事情も知っている。だが、王の独断で王家に名を連ねたのが、この俺で悔しくて堪らない。選ばれたのが自分でないのが、許し難いんだ。今も昔も。どうにかして、俺の評判を落とそうとああして画策している」
物陰に隠れていた彼らを見ていたオデットは、キースが歩き出しそうになったのを見て慌てて彼に駆け寄った。
「あんな! あんな嫌な言い方、ないよ! これは、私が自分でしたいって言って……キースは、別に何もしなくて良いって言ったのに……悔しい。あの人は何も知らない癖に。何であんなことを、言われなきゃいけないの……」
実情も知らない人間の憶測に自分のせいで非難されたキースを見上げて、オデットは彼の腕をぎゅうっと強く握った。
オデットの必死な表情を見て、キースは気にするなと言わんばかりに、いつものように微笑んだ。
「はは。あー、まあ。世間を知らないオデットには、わからないか。あの人は、俺の立場が羨ましくて仕方ないんだ。エズウェル大臣も一応公爵家の一人ではある。事情も知っている。だが、王の独断で王家に名を連ねたのが、この俺で悔しくて堪らない。選ばれたのが自分でないのが、許し難いんだ。今も昔も。どうにかして、俺の評判を落とそうとああして画策している」