鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない
「団長のセドリックは、こいつらより大分年齢を重ねているし、性格的にも特別無口なので。こいつらは、まだ若くてヤンチャなのが多くて……ワーウィック。近付き過ぎだ。人間の女の子に対する礼儀を守れ。リカルドを呼ぶぞ。いい加減にしろ」

 赤い竜がキュウキュウと抗議するように鳴いたので、ナイジェルがパトリックの方を向いた。

 竜騎士が話す事が出来るのは、契約した竜だけらしいので、何を言っているのか翻訳しろと言っているのかもしれない。

「クライヴ。リカルドはブレンダンと組んで、近くで作戦立案をやってるだろ。この悪戯好きのわからず屋には、リカルドに責任を取って貰う。二人に竜舎まで来いって言え」

 一番後ろで冷静に我関せずな様子をしていた紺色の竜にナイジェルがそう言うと、ワーウィックと呼ばれた赤竜は今度はキュウキュウと甘えるような鳴き声を出した。

「今更甘えても、もう遅い。可愛い女の子だからって好き勝手やってると、一番大事な時に好きな子に嫌われるぞ」

「ナイジェル……悪い。ワーウィック。お前、良い加減にしろ」

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