鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない

22 解ける鎖

「本当に、すっごく可愛かったんです! もう。キース、話を聞いてます?」

 オデットは夕食を食べつつ、仕事帰りのキースに竜と話すことの出来た感動を語った。

 若い竜たちの中には人化の術を使うことの出来る子も居て、契約している竜騎士という通訳を介さずとも存分に質問したり、彼らの事を聞くことが出来た。

 可愛らしい仲良しの竜たちのことを浮かれて話すオデットに、キースは持っていたフォークを置きつつ苦笑した。

「ちゃんと、聞いてる聞いてる。あいつらは、同期の竜騎士たちの竜で年齢も近い。一緒に行動することが、多いんだ。だから仲が良いし、若いだけに騒がしいからな。特にリカルドのワーウィックは、力も強いし飛行速度も抜群なんだが、お喋りなのが玉に瑕でね。人化することが出来るようになって、俺も初めて目の当たりにしたんだが、口を開けば止まらない。リカルドの苦労が、忍ばれるわ……あれがずーっと頭の中で話していると思うと……俺だったら、無理かもしれない」

 物静かなセドリックを相棒に持つ彼は、よりそう思ってしまうのかもしれない。なんとも言えない表情でキースは、冷たい水を飲んでから大きく息を吐いた。

「可愛いですよね……私。また竜舎に、遊びに行きたいです」

 目を輝かせてお願いをするように、キースを見れば彼は笑って頷いた。

「ああ……ここから近いし、良いんじゃないか。皆喜ぶだろう。セドリックに言えば、すぐに連れて行ってくれる。まあ……一人では、外に出て欲しくはないが……」

「それは、わかってます……これも、取れていませんし……」

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